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危機が去って


朝、いつものように小屋の扉を開けると、6羽がひとかたまりになって出てきて、すぐに段差の茂みを通って下の柿畑へ降りていった。

それからしばらくして、急におとなたちの警戒の合唱が聞こえてきた。慌てて飛んでいくと、ウコギの茂みの中にメンドリ3羽と、繁みから出たところに、見張りをしていただろうオンドリのイッチーが、緊張して体に羽毛をぴったりとつけ、首を伸ばして警戒の合唱をしている。ヒヨコたちの姿はどこにもない。

大人たちが、何か危険を察知して警戒の声を上げ、ヒヨコたちはどこかに身を隠しているのだろうと思いたいが。姿を確認しないことには。

できるだけ穏やかな声で名まえを呼び、一羽一羽に声を掛けながら大人たちの様子を観察すると、どうやらイッチーは、メンドリたちにつられて合唱しているが、もし何か天敵が来てヒヨコ…群れの仲間の一員…を盗られたとすると、多分飼い主に向かって跳び蹴りをし、噛み付くなど、かなり興奮して攻撃的になりそうである。過去にそういうことがあり、かれを宥めるために血の出る怪我をしながら抱き上げてサンテナにいれたことがある。小屋だと、メンドリたちに危害を加えそうな獰猛さだったので、隔離した方がいいかもしれないと思ったほどだった。

一方で、母鶏のサキはそうとう興奮して「コーッコッコッコッコ、ケーッコッコッコッコ」などと繰り返していて、なかなか収まりそうにないし、シカも同じように合唱している。フッキーは座り込んでしまっている。

何があったのだろうか。

周りを見回してみても、それらしい動物や、空を見上げてもカラスや鷹などは見当たらない。

かれらが興奮しているうちは、もし一羽でもヒヨコが無事だったとしても出ては来ないだろう。ニワトリという生き物は、成鳥もヒヨコも、危険が去り、身の安全が確保できたと感じるまでは数十分でも身を潜めて出てこないもので、この状態にいるかれらを探しても見つけることはほとんど不可能といっていいほどなのですよ。

今ここで彼らにしてやれることは何もない。何度か角度を変えて茂みの中や、近くのフキの群落を見渡して見たが、ヒヨコの姿は影も形もない。

とりあえず、おとなたちの興奮が収まるまではヒヨコの安否を確認できないので、一旦家に入った。

しばらくすると、おとなたちの警戒の声は止み、クックックック、というような普段の穏やかな声が聞こえたように思ったので見に行ってみた。

ヒヨコたちは、二羽とも無事だった。何ごともなかったようにピヨピヨ鳴きながら、地面をついばんでいる。

何があったのか、あるいはなかったのか判らないけれど、初めての「危機」を無事にやりすごしたようで、群れの結束が一気に出来上がったようだ。かれらは、ヒヨコ二羽を加えた6羽の新しい群れになったのですよ。

小屋に入れて一食目を食べさせ、ふたたび小屋の扉を開けておく。近所の果樹園で薬剤散布が始まったので、小屋に入れる。今までは、イッチーをサンテナに入れて隔離しておいたけれど、短時間だろうし、というわけでかれも一緒に小屋に入れてみる。騒ぎを起こすようなら隔離するつもりで。何事も起こらなかった。

午後。群れは、一気に「子育てモード」になったようで、シカばかりかフッキーまでも、虫を見つけてはヒヨコたちに渡してやっている。イッチーは一羽先に立って歩き、見張りをしているけれどもメンドリ三羽とヒヨコ二羽は入り乱れて一群になって歩き回っている。

夕方、イッチーだけ外で、あとの5羽を小屋の中で餌をあらかた食べさせた後でみんな小屋に入れた。しばらくして見に行くと、フッキーが産卵箱に座り、サキ母さんとしか小母さんは、産卵箱に入りたいのだけれども入り口にフッキーが陣取っているのでそわそわしていた。

ついたてを外すと、メンドリ三羽は箱の中に座ろうとするのだが、どうしても一羽はみ出してしまった。いくら何でも、二羽が限度ですわ。

イッチーが止まり木に上がり、誰かが隣に止まっていた。箱の中にいたシカは、少なくともシマ(茶)を翼の中に抱いていた。サキは飛び降りて、結局箱から少しはみ出しながらも三羽は産卵箱にくっつき合って座ってしまった。ヒヨコたちは、誰かの翼の下にでももぐりこんでしまったのか、姿が見えない。こうなると、もうメンドリ三羽は二羽のヒヨコたちの母親も同然になってしまったようなもの。

劇的な変化ではある。
by farbito | 2006-09-25 19:40 | | Comments(0)


わが家の鶏たちのあれこれ。画像は、2010/9/10に孵化後三週間で我が家に来た名古屋種(コーチン)のシズ(左・メス)とゲン(右、オス)。薄紫色の文字列はリンクです。


by farbito

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